掛け軸の補修作業 ②裏打ち〜つけ回し

掛け軸の補修作業 ①解体
https://papie.hateblo.jp/entry/2020/05/02/131449



ここからの作業は補修に限らず掛け軸を作る時と同じです
ではこれからぱぴ絵での表装工程をご紹介致します♪

①裏打ち(肌裏)
本紙に裏打ちをしていきます(肌裏)

裏打ちの紙に糊をハケで均等につけ本紙の裏に張っていきます
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本紙が長いものは2枚に分けて裏打ちします

肌裏には薄くて腰の強い美濃紙を使います
弾力があり丈夫です
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裏打ちをすることによりシワを伸ばし長期保存することができます
天気によりますがだいたい1〜2日ほどで乾きます


②本紙をカット
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本紙の余分なところをバランスを見ながらカットします


③衣装合わせ〜つけ回し
本紙に合わせる材料をデザインしながら用意します
掛け軸の表装には専用の裂地や紙を使いますが、ぱぴ絵では桜やビワの葉などを近所から採取し草木染めをしたり墨染めをしたりして表装材料を創作したりもしています


今回は一文字・中廻し・天地の三段表装で仕立てていきます
各パーツを順番に本紙に糊付けすることを「つけ回し」と呼んでいます


まずは一文字
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印金竹屋町という裂地です
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禅宗の墨蹟は落款の位置などに約束事があるようですが、それは決まり事ではなく代々模倣されてきたやり方のようです
最後に押す落款はきっと一番気合いが入る瞬間だと思います

糊しろは全て一分の幅で付けていきます

柱・中廻しに七宝繋ぎの柄の西陣
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裂地は織物なので光の具合で色や光沢が様々に見えてきます
また紋様も様々にあり、本紙の内容に沿う裂地を合わせるのも大きなポイントとなります

天地は泥揉み紙を合わせました
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詫びの世界を醸し出す貴重な材料です
今回は紙の押し風帯をつけています


一文字→柱→中廻し→天地とつけ回しが完了しました
次回はいよいよ最後の裏打ち「総裏」です
継ぎ足した各パーツを最後にひとつにまとめる作業です。


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