掛け軸の補修作業 ③総裏

掛け軸の補修作業 ②裏打ち〜つけ回し
https://papie.hateblo.jp/entry/2020/05/06/112038

「知足者常福」
つけ回しが終了しました
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一文字(いちもんじ)→柱→中廻し→天地の順番に各パーツを付け終わったら最後ひとつにまとめるための工程【総裏】です

裏返しにし板の上で作業します
長い軸ですので総裏も分割して仕上げます
生漉きの和紙を使います
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掛け軸の一番上の部分は上巻きといい、特に長い軸は吊るときに負荷がかかるので丈夫で薄い正絹を使います


今回総裏には20年ものの古糊を使いました
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発酵したようななかなかの香りがします(笑)
糊はダマができないよう予め細かいザルで何度か濾ししっかり溶いておきます
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上巻きから順番に貼っていきます
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全て貼り終えたら最後に重たい棕櫚の刷毛で叩きます
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こうして紙の繊維同士を絡ませるように貼り合わせていきます

軸の下の部分は軸棒をつける所で、ここも補強するため上巻きと同じ正絹で小さな付箋のようなものを付けます(我々はお助けマンと呼んでいます)
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板に張り付けたまま乾燥させます

次は軸棒や八双など部品を取り付け巻物にしていく【仕上げ】の作業に入ります

紙は生き物
晴れた日にはピンと張り
雨の日にはくたっとなります
慌てず
お天道様と相談しながらその日の作業を考えます

【つけ回し】や【総裏】は湿度の高い日が比較的やり易く、【仕上げ】は必ず晴れた日に行います



次回へ続く♪

掛け軸の補修作業 ②裏打ち〜つけ回し

掛け軸の補修作業 ①解体
https://papie.hateblo.jp/entry/2020/05/02/131449



ここからの作業は補修に限らず掛け軸を作る時と同じです
ではこれからぱぴ絵での表装工程をご紹介致します♪

①裏打ち(肌裏)
本紙に裏打ちをしていきます(肌裏)

裏打ちの紙に糊をハケで均等につけ本紙の裏に張っていきます
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本紙が長いものは2枚に分けて裏打ちします

肌裏には薄くて腰の強い美濃紙を使います
弾力があり丈夫です
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裏打ちをすることによりシワを伸ばし長期保存することができます
天気によりますがだいたい1〜2日ほどで乾きます


②本紙をカット
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本紙の余分なところをバランスを見ながらカットします


③衣装合わせ〜つけ回し
本紙に合わせる材料をデザインしながら用意します
掛け軸の表装には専用の裂地や紙を使いますが、ぱぴ絵では桜やビワの葉などを近所から採取し草木染めをしたり墨染めをしたりして表装材料を創作したりもしています


今回は一文字・中廻し・天地の三段表装で仕立てていきます
各パーツを順番に本紙に糊付けすることを「つけ回し」と呼んでいます


まずは一文字
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印金竹屋町という裂地です
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禅宗の墨蹟は落款の位置などに約束事があるようですが、それは決まり事ではなく代々模倣されてきたやり方のようです
最後に押す落款はきっと一番気合いが入る瞬間だと思います

糊しろは全て一分の幅で付けていきます

柱・中廻しに七宝繋ぎの柄の西陣
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裂地は織物なので光の具合で色や光沢が様々に見えてきます
また紋様も様々にあり、本紙の内容に沿う裂地を合わせるのも大きなポイントとなります

天地は泥揉み紙を合わせました
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詫びの世界を醸し出す貴重な材料です
今回は紙の押し風帯をつけています


一文字→柱→中廻し→天地とつけ回しが完了しました
次回はいよいよ最後の裏打ち「総裏」です
継ぎ足した各パーツを最後にひとつにまとめる作業です。


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書や墨絵などの裏打ちのみのご注文も承ります
お気軽にご相談下さい
ikkyusann1935@gmail.com

山吹

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「駒とめて なほ水かはむ
山吹の花の露そふ 井手の玉川」

藤原俊成が詠んだ歌をお軸に、というご注文を頂きいざ山吹を探しにあちらこちらへ

探している時には見つからないもので

いつもの よく行くあの場所に
満開の山吹を見つけたり

万葉の草花 山吹
この歌が詠まれた時代に思いを馳せて

掛け軸の補修作業 ①解体

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「知足者常福」
100年ほど前の大徳寺管長松雲和尚の墨蹟です


それほどひどい傷みはありませんが、本紙にシミや折れジワ、虫食いなどがありこれをゆっくり補修してゆきます。
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今回は本紙だけ残し、後は全てやり変えます。



分解して本紙だけにし、洗いの作業で本紙のシミを取っていきます
befor↓
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after↓
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本紙の裏打ちをゆっくりめくってゆき、和尚が書いた元の状態に戻します。
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これを表装された方の仕事ぶりを観察しながら・・・

裏打ちを全てめくった状態↓
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昔の表装は、使う糊も紙も質が良く、感心することが沢山あります。
時間をかけ、掛け軸からこの元の状態に戻すこの作業は大変勉強になる工程です。




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これからぱぴ絵のデザインで表装を一新!
生まれかわってゆく工程をお伝えして参ります。




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ぱぴ絵ではご家庭で眠っている古い掛け軸をリメイクさせていただきます
また書画の裏打ちのみも承ります

何なりとご相談下さいませ(^^)

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お気軽にどうぞ

皐月

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◆「天真」画/颯

夏も近づく八十八夜 とんとん

急激に移り変わる世情
日常と自分を見つめ直す好チャンス!

ぱぴ絵はお陰様で変わりなく過ごしております。

当ブログのトップページにあります、タイトル「はじめまして」には、月変わりでその時候のお軸を載せております。
合わせてお楽しみ下さいませ。

弥生

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賑わう浜辺にて

散歩中、浜辺でブラジルのビーチ発祥という「フレスコ」というスポーツに出逢いました

弥生の初めに初めての体験♪
ちょっと遊ばせてもらいました



写真は凧揚げをする親子
凧と一緒に鳩も飛び立った!!